倒置構文 3.【倒置が起こらない So】

文法、倒置、倒置構文

「He plays tennis very well. – So he does.」

 

このような文章を見かけたことはありますか?

 

普通は "So" などの副詞、もしくは

否定の副詞が強調のため文頭に来る場合は倒置を起します。

 

“I will study English.” “So will I.”

(「わたしは英語を勉強するつもりだ」「わたしもそうするつもりだ」)

 

He plays tennis very well. – So he does.

 

この場合は倒置が起きておりません。なぜでしょうか?

「So+S+V」の場合は前の文章の主語と同じ人を指してい

る場合は倒置は起きないのです。

【復習】倒置構文とは?

 

 

英語は通常「主語(S)+動詞(V)」という構成が基本ですが、これが「動詞(V)+主語(S)」と語順が変わった構文を倒置構文と呼びます。
もし通常の構文が「主語(S)+助動詞+動詞(V)」の場合、倒置構文はどうなりますでしょうか。ご想像の通り、「助動詞+主語(S)+動詞(V)」という形になります。

 

倒置には大きく分けると、「強調のための倒置」そして「文法構造上の倒置」の2つが存在しています。
これは別の記事で紹介していますので、併せてご覧下さい。

 

"So" が文頭に来た場合の基本原則とは

 

 

まず基本的な前提として、Soが文頭に来た場合、後ろに続く文は「So+V(動詞)+S(主語)」という基本的なルールがあります。簡単な例文をまず見てみましょう。

・話者A: "I love bananas!"
・話者B: "So do I."

このようにSoが文頭に来ているため、do (V)とI (S)が倒置になっていますね。
これは同意を示す典型的な倒置で「私も私も!」というニュアンスが出て、それぞれ自分の意見を述べています。

Soの基本的な倒置構文に関しては、「文法構造上の倒置」記事内の「so, neither, norで始まる文と節の場合」にて詳しく説明をしています。復習を兼ねて、一度目を通してみて下さい。
 

 

しかし本日の本題は、Soが文頭に来ているにも関わらず倒置が起こらない場合があります。(なんで!?)
その理由や原理を一緒に見ていきましょう。

 

"So" が文頭にきても倒置が起こらない理由

 

 

まず1つ例文を紹介します。

 

・話者A: "She loves banana pancakes."
【意味】「彼女はバナナパンケーキが好きだ。」

 

・話者B: "So she does."
【意味】「そうですね。」

 

先の例文のような、倒置が起こっていないことに気付くことでしょう。
では、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?

 

それは "So she does." she (S)が、前の文 "She loves..." の She (S) と同じもの/人を指しているからです。
もう一度例文に戻ってみましょう。

 

・話者A: "She loves banana pancakes."
【意味】「彼女はバナナパンケーキが好きだ。」

 

・話者B: "So she does."
【意味】「そうですね。」


話者Bさんが「(彼女は)そうですね」と述べ、sheが直前のSheと同じ人を指していることがはっきりと見て取れます。

このように英語では、「前に出てきた情報(古い情報)を出来るだけ先に言ってしまいたい!」という独特の傾向があります。
そして古い情報を先に言ってしまい、文の最後で「実は・・・」とまだ出し切っていない、新しい情報を出す仕組みを好みます。
そのため "So does she."とはならず、"So she does." という形になります。

もう1つ例題を出しますので一緒に考えてみましょう。

【例】
CさんとDさんがテニスコート付きの公園に遊びに来ています。
そこでは男性がテニスをしており、とても上手な人のようです。

 
・話者C: "He plays tennis very well."
【意味】「彼はとてもテニスが上手い。」


・話者D: "So he does."
【意味】「そうですね。」

話者CさんとDさんは同じ主語の人の事を話しているため、Dさんは "So he does." と倒置が発生しない形で回答をしています。

英語独特の上級者ルールですが、IELTS/TOEFL/TOEICなどのリーディング文中やリスニングなどで出てくることもありますので、
これを機会に頭の片隅に入れておきましょう。

応用編

 

通常、Soや否定の副詞(倒置構文と言われます)のほか、場所に関わる副詞語句が文頭にくると倒置が起こるのですが、

 

例1】Hardly had we gotten home when it stopped raining.

(私たちが家に着くとすぐに雨がやんだ)

 

例2】Here comes the bus.

  (バスが来るよ)

 

代名詞が使われている場合は倒置が起こらないのです。It やTheyなどが古い情報であるため、文の頭に引っ張り出されて倒置を起こさないケースです。

 

例1】Here it comes.

(それがやって来るよ)

 

例2】Here we go.

(さあ行きますよ。さあ行くぞ!)

 

例3】Here you are.

(はいどうぞ。はいここです。)

 

 

練習問題

※どれも倒置を起こさない練習問題です

 

Q1.「彼はビートルズが好きだ」「そうですね」

A. He loves the Beatles. So he does.

Q2.(あなたは)そこに私の新しいクルマが見えます。

A. There you see my new car.

Q3.「ほら彼が来るよ」

A. Here he comes.

Q4.「彼女はいつも愚痴ばっかり言っている」「そうですね」

A. She is always complaining. So she is.

Q5. (不快な状況が繰り返されている場合に)「ああまたか、まいったな」

A. Here we go again.

まとめ

 

 

・Soが文頭に来て、初めて出てきた主語が続く場合は「So+V(動詞)+S(主語)」と倒置が必要。
・ただし、既に古い情報としてその主語となる人が出ている場合は倒置が不要。

 ・So+S(主語)+V(動詞)は、「その通りだ」という訳を当てはめると、綺麗に訳せることが多い。

・英語は「古い情報⇒新しい情報」という文の流れが好まれるという原則は忘れずに。

 

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