倒置構文とは？

英語は通常「主語(S)+動詞(V)」という構成が基本ですが、これが「動詞(V)+主語(S)」と語順が変わった構文を倒置構文と呼びます。もし通常の構文が「主語(S)+助動詞+動詞(V)」の場合、倒置構文はどうなりますでしょうか。ご想像の通り、「助動詞+主語(S)+動詞(V)」という形になります。

倒置には大きく分けると、「強調のための倒置」そして「文法構造上の倒置」の2つが存在するのはご存知でしたか？

今回は「強調のための倒置」に焦点を当て、解説をしていきます。

感嘆文

一番身近な倒置は、「なんて～なんだろう！」と感動を表す感嘆文ではないでしょうか。
感嘆文は、典型的な倒置の形で使いこなせている人も多いかと思います。

・What a nice bag you have! (なんてすばらしいカバンを君は持っているんだ!)

上記例文の通り、a nice bagが本来の位置から前に引き出されていますね。
本来文中に埋もれている要素を、配置転換することで感動の気持ちを宿しています。

感嘆文は日常会話でもよく使うので、マスターしておきましょう。次からは少し難易度があがります。

否定の意味を持つ要素が文頭にくる場合

「否定の意味を持つ要素？」と急に言われても想像がつきにくいですよね。下記例文を元に説明をしていきます。

・通常構文: I have never seen such horrible behavior.
・倒置構文: Never have I seen such horrible behavior! 

両者とも「こんな酷い態度は見たことがない!」という意味になります。

しかし、文頭に置かれた否定語句(この場合はNever)の後ろに倒置を続けた構文にすることで、より否定的な感情の抑揚を込めることができます。
否定的な語句としてnever、seldom、rarelyなど挙げられ、これらを利用した倒置構文をよく目にすることはありませんか？それは否定的なことには感情移入がしやすいため、倒置を伴うコンビネーションが頻繁に利用されているからです。

方向や運動が文頭にくる場合

物語などでよく使われているこの倒置法。この場合は、主語が名詞の場合に限られます。
早速、例文を見ていきましょう。

【Here/Thereなど場所や方向が文頭にくる場合】

・Here comes the bus! (バスが来たよ!)
・There comes the rain. (雨が降ってきた。)

【Go/Down/Upなど動詞が運動を表す語彙が文頭にくる場合】

・Up went the balloon. (風船は上がっていった。)
・Down came the rain. (雨がザーッと降ってきた。)

文語的な倒置法ですが、目にすることは多いのでこれを機会に覚えてしまいましょう。

位置や場所が文頭にくる場合

この倒置は強調のために場所などを示す語句を文頭に出すことの他に、倒置によって文全体の流れやリズムが良くなることも意識しています。以下2通りの例をご覧ください。

・In front of the forest was an open field covered with snow. (森の前面には雪で覆われた野原が開けていた。)
・At the top of the hill stood the tiny house. (丘の上にそのとても小さな家が建っていた。)

このように動詞(V)がbe動詞、またはstand/lie/sit/hangなどが続く場合、位置や場所を文頭に持ってくる倒置が見られます。

文全体の流れやリズムで構造を変えられてしまうのは、勉強している皆様にとっても許し難いかもしれませんが、
このようなパターンがあることも頭の片隅に入れてもらえたらと思います。

程度を示す副詞や副詞的修飾語が文頭にくる場合

程度を示すso～thatやsuch～that、副詞的修飾語句と呼ばれるwell/oftenなどが利用される英文にも、倒置が起こる場合があります。

・So shocked were that they stopped talking. (彼らはとてもショックを受けたので話すことを止めた。)
・Well do I remember the day when I first came to Canada. (カナダに初めて来た日のことを、私はとてもよく覚えています。)

先の「位置や場所を強調する場合」の時とは異なり、比較的に覚えやすく、馴染みがあるかもしれません。
特に、程度を示すso～thatやsuch～that構文は頻繁に出題されるので、きちんと復習しておきましょう。

補語になる形容詞が文頭にくる場合

主語(S)+動詞(V)+補語(C)の文や、主語の名詞に長い修飾語句が付いている時に強調のため、補語の形容詞が文頭に置かれることがあります。これも例文で見ていきましょう。

・Available is a sing bedroom. (シングルのベッドルームが利用できます。)
・Heavy is the burden of responsibility that has lain upon him without a break for years. (長年彼に絶えずのしかかっていた責任の負担は実に重い。)

全部の倒置構文に言えることですが、倒置の構図が分かりづらい場合は、文を元の形に戻すと分かりやすくなります。

目的語が文頭にくる場合

厳密な意味での倒置とは言えませんが、①前文や節とのつながりを示す時、②他の名詞との対照を示す時、③長い修飾語句などが付いた場合などに、目的語が前に出ることがあります。それぞれ用例例文で見ていきましょう。

① The next three hours he spent thinking over the lecture he was to deliver that evening.
(その後の3時間は、その夜予定されていた講演の構想を練るのに過ごした。)

② The hot weather I don’t mind, but the cold weather I can’t stand.
(暑い天気は平気ですが、寒い天気は耐えられません。)

③ Much of what children learn at school they forget in later life.
(学校で習う事の多くは、その後の生活で忘れてしまうものだ。)

このように目的語が文頭に来る場合もありますが、主語(S)+動詞(V)の語順は変わりませんので注意が必要です。

まとめ

強調する場合の倒置は、
・感情の高揚、否定的な要素、方向や運動、位置や場所、程度、補語、目的語が文頭にくる。
・文語的な用法なので口語での使用は少ないものの、出題頻度は高い。
・倒置の知識は、高度な英文の読み書きに繋がるので、英語力向上のためにも理解を深めておくのが良い。

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