thatの様々な用法と見分け方

thatには関係代名詞、接続詞、同格などさまざまな用法があります。
文中のthatがどのように使われているか理解していないと、文の意味を取り違えたり、使い方があいまいだと、ライティングで間違った使い方をしてしまいます。

① 指示語の that

「あれ」「あの」「あの人」などを表します。
thisと比べて、少し離れたものや人を指し示します。

指示語には、厳密には指示形容詞と指示代名詞があります。
指示形容詞は、形容詞的に使われるため、名詞の前に置かれます。
たとえば、I like that dog. はthatが形容詞的に使われています。

指示代名詞は、代名詞・・・つまり名詞として使われます。
たとえば、以下の文はthatが名詞的に使われています。

  • That is my mother.
    あれは私の母だ。
  • The population of Japan is much more than that of Canada.
    日本の人口は、カナダのそれ(=人口)よりずっと多い。
    →直前に出てきた名詞をthatで表しています。

② 接続詞の that

接続詞は語と語、文と文をつなぐ役割をする言葉のことです。
thatは前後の文をつなぐ役割をします。
文と文をつなぐので、接続詞のthatのあとは完全な文(文法的に正しい文)が来ます。

名詞節を導く場合
thatは名詞節を作ることができます。
I think that ~ のthatを想像してください。

節とは、2語以上の文のまとまりのことを言います。
文のまとまりなので、節の中には主語と動詞があります。
節は、そのまとまりがどのような役割をするかによって、名詞節や形容詞節と呼ばれます。
また、節を作ることができる言葉は限られているので、その節の頭にくる言葉を使って「that節」「if節」「whether節」と呼ばれることもあります。

例えば、I think that I like Canada. (私はカナダを好きだと思う) のthatは、that以下を「~ということ」とまとめて、その前のI thinkとつなげる役割をしています。
~すること、を作るので、名詞節を導くthatと言います。
動詞の目的語には、直接文を持ってくることはできないので、thatで「~ということ」というまとまりを作ってつなげてあげる必要があるんですね。

また、名詞になる、ということは、他の dog や apple といった名詞と同じように、主語や目的語の位置にくることもあります。
補語の位置に来る場合は、後から説明する「同格」の位置づけになるので注意しましょう。

  • That his brother lives in Toronto will help him.(主語)
    彼の兄(弟)がトロントに住んでいることは彼を助けるだろう。
  • I told him that I had seen her a week before.(目的語)
    私は彼に、1週間前に彼女と会ったと伝えました。

副詞節を導く場合
thatが副詞の役割をすることもあります。
以下の例文を見てみましょう。 

  • I am so hungry that I cannot study anymore.
    私はお腹が空いているのでこれ以上勉強できない。
    →so ~ that ・・・で「とても~なので・・・」と結果を表す。
  • I studied hard, so that (in order that) I passed the exam.
    私は試験に通るため、一生懸命勉強した。
    →so thatやin order thatの形で使われ「~するために」と目的を表す。
  • I am glad that you’ve arrived at Toronto.
    私はあなたがトロントに着いて嬉しい。
    →感情を表す形容詞のあとに使われることが多く「~だから」と理由を表す

③ 関係代名詞の that


関係代名詞は、簡単に言うと、直前の名詞(先行詞)を文で説明することができる文法ルールです。

  1. He is going to meet a girl that lives near my house.
    彼は私の家の近くに住む女の子と会う予定だ。
  2. This is a picture that she painted.
    これは彼女が描いた絵です。

関係代名詞としてのthatは先行詞が人間・人間以外の生物・無生物すべての場合に使われます。
thatが使われる場合、関係代名詞は常に限定用法となります。
関係代名詞のthatのあとは不完全な文(主語または目的語が欠けている)が来ます。

例えば、1の文では、thatのあとには主語がありません。
thatの直前のa girlが主語の位置に来ることが想定されているためです。
※このように、関係代名詞節の中で、先行詞が主語の役割をするものを主格といいます。

一方、2の文では、thatのあとには目的語がありません。
paintは、~を、を意味する目的語が必要な他動詞です。
thatの直前のa pictureが目的語の位置に来ることを想定しています。
※このように、関係代名詞節の中で、先行詞が目的語の役割をするものを目的格といいます。

④ 形式主語・目的語の that

英語は、主語や目的語が長い文は不格好だとされています。
頭でっかち・お腹でっかちの格好悪い文ができるのをさけるため、itを主語や目的語の位置に仮に置いて、後から説明する文法を、形式主語・形式目的語のitと言います。
itの内容を後から説明する場合、to不定詞や、thatが用いられます。
thatが使われる例を例文で確認してみましょう。

  • It was surprising that he got full marks on the exam.
    彼が試験で満点を取ったことは驚くべきことだった。
    →That he got full marks on the exam is surprising. は不格好だとされ、主語をitで置き換えています。
  • I thought it strange that he got full marks on the exam.
    彼が試験で満点を取ったことはおかしいと思った。
    →I thought that he got full marks on the exam strange. はわかりにいため、目的語をitで置き換えています。

⑤ 同格の that

同格のthatは接続詞のthatの仲間で、直前の単語の内容を「~という」と、文で説明したいときに使います。
たとえば、以下の文は同格のthatの用法です。

  1. I agree with the idea that she studies abroad.
    私は彼女が留学するという考えに賛成だ。
  2. The idea is that she studies abroad.
    その考えとは、彼女が留学することだ。

thatでideaの内容を説明していますね。
非常に便利な用法ですが、同格のthatは、使える単語は決まっています。
また、文の形によっても使える単語が違う場合がありますので注意しましょう。

※1のように「名詞+that」が使える単語の一例
advice, answer, evidence, fact, idea, issue, knowledge,
opinion, problem, solution, support, thought, view など

※2のように「名詞 is that」が使える単語の一例
上記に加え、bias, trouble, value など 

基本的には、意見や考え方を表す名詞と使えることが多いです。
英作文の際に、同格のthatを使えない動詞をthatで説明してしまう、ということがないように気を付けましょう。

同格のthatは、関係代名詞との区別が特に難しい用法ですが、関係代名詞と違い
thatのあとは完全な文(文法的に正しい文)が来ます。

thatの用法と見分け方 まとめ

関係代名詞のthatは、thatのあとに不完全(文の要素がどこか欠けている)な文が来ます。
 それ以外の用法の場合は、thatのあとには完全な文が来ます。
同格のthatは直前の単語を「~という」と、文で説明することができます。
 ただし、同格のthatを続けられる単語は限られているので注意しましょう。

Metropolitan Academy of English

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